■成分名

クエチアピン

■商品名

ビプレッソ徐放錠

■規格

50mg、150mg

■効能・効果

双極性障害におけるうつ症状の改善

■用法・用量

通常、成人にはクエチアピンとして1回50mgより投与を開始し、2日以上の間隔をあけて1回150mgへ増量する。その後、さらに2日以上の間隔をあけて、推奨用量である1回300mgに増量する。

なお、いずれも1日1回就寝前とし、食後2時間以上あけて経口投与すること。

■副作用

鎮静作用が強いため、眠気やふらつきには注意が必要です。

・血糖値の上昇、脂質異常等

・口喝、便秘

・錐体外路症状は比較的少ないですが、注意は必要です。

■特徴

クエチアピンの普通錠は「統合失調症」に適応を持つ薬ですが、クエチアピンの徐放錠(徐々に体内で溶ける設計となっている薬のこと)であるビプレッソは、「双極性障害におけるうつ症状の改善」と適応が異なります。なぜ用いる疾患が違ってくるのか不思議に感じる方も多いと思います。

それは、クエチアピンが気分安定薬としての側面も持つからです。

気分安定薬とは、気分の波を落ち着かせる効果をもつ薬剤の総称で双極性障害の治療に用いられます。海外では双極性障害としての適応を持ち、また日本でも昔から気分安定薬としての効果を期待して処方されてきました。そして、双極性障害の適応をもち新たに発売されたのがビプレッソとなります。

・成分はクエチアピンですので、特徴はクエチアピンと同じです。ただ、徐放錠となっているため即効性を期待した不安軽減や不眠などには使用されません。

・服用としては、50mgから開始し維持量の300mgまで増量することが多いです。そのため、はじめは効果を感じにくい場合がありますが、中断しないよう注意が必要です。

・徐放錠になったことで、吸収の際に食事の影響を受けるようになりました。ビプレッソを食後に服用すると、血中濃度(体内濃度)が2倍に上昇するとの報告がありますので、就寝前に服用するようにしてください。

・クエチアピン同様に脂質代謝異常や血糖値の上昇を起こすことがあるため、糖尿病患者さんへの使用は禁忌(使用不可)となっています。