■成分名

バルプロ酸徐放錠

■商品名

バルプロ酸徐放錠A、デパケンR、バルプロ酸SR錠

■規格

100mg、200mg

■効能・効果

・躁病および躁うつ病の躁状態の治療

・片頭痛発作の発症抑制

・各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療

■用法・用量

・躁病および躁うつ病の躁状態の治療、各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療

通常1日量バルプロ酸ナトリウムとして400~1,200mgを1日1~2回に分けて経口投与する。ただし、年齢・症状に応じ適宜増減する。

・片頭痛発作の発症抑制

通常1日量バルプロ酸ナトリウムとして400~800mgを1日1~2回に分けて経口投与する。

なお、年齢・症状に応じ適宜増減するが、1日量として1,000mgを超えないこと。

■副作用

・基本的には副作用が少なく安全性の高い薬です。ただ、ときに重篤な肝機能障害が出現することがあるので、定期的に採血をして体内のバルプロ酸の濃度(血中濃度)を測定することが望ましいといわれています。血中濃度は50~100μg/mLが目安といわれています。

・食欲低下、吐き気

・眠気

■特徴

・てんかん治療薬としてもよく使用されますが、今回は精神科領域ということもあり、そちらの適応について説明させていただきます。

てんかん治療薬として発売後、2002年に躁うつ病(双極性障害)への適応が認められました。

双極性障害とは、躁うつ病ともいわれ躁状態とうつ状態を繰り返すことをいいます。

・バルプロ酸の適応は、躁状態のみですが臨床ではうつ状態にも使用され、双極性障害の維持療法として使用されることも多いです。また、双極性障害で急速に躁うつが交代するラピッドサイクラーという病態にも有効性が報告されています。

双極性障害の第一選択薬には炭酸リチウムが処方されることが多いですが、このバルプロ酸も処方数がとても多く、鎮静作用を有しているため焦燥感や不快な気分が強い方に対しては、炭酸リチウムよりも改善効果が高いことが報告されています。

・炭酸リチウムやてんかん治療薬であるバルプロ酸、ラモトリギンカルバマゼピンなどは、気分の波をコントロールする「気分安定化薬」とも呼ばれています。

気分安定化薬は、双極性障害において第一に考慮される薬でありますが、それ以外の病気でも保険適用こそありませんが、以下の使われ方をされることが多いです。(各薬剤によって使われ方は異なります)

①うつ病治療薬だけでは効果が乏しい場合の作用増強を目的として、うつ病治療薬との併用

②統合失調症やパーソナリティ障害、自閉スペクトル症などの病気があり、気分変動が激しい場合にそれぞれの薬との併用

つまり、気分安定化薬が処方されているからといって双極性障害であるとは限らず、気分の波を調節する目的と考えて服用を継続していくことが大切です。