■成分名
アセナピン
■商品名
シクレスト舌下錠
■規格
舌下錠:5mg、10mg
■効能・効果
統合失調症
■用法・用量
通常、成人にはアセナピンとして1回5mgを1日2回舌下投与から投与を開始する。維持用量は1回5mgを1日2回とし、年齢、症状に応じ適宜増減するが、最高用量は1回10mgを1日2回までとする。
■副作用
・舌のしびれ
・鎮静作用が強いため、眠気やふらつきには注意が必要です。
・錐体外路症状は比較的少ないですが、注意は必要です。
■特徴
・2016年に日本で発売が開始された比較的新しい統合失調症治療薬となります。
オランザピンやクエチアピンと同じカテゴリーの薬となります。そのため、これらの薬と同様に鎮静作用が強いという特徴があります。また、幻聴や幻覚などの統合失調症の陽性症状に特に効果が強いですが、感情の低下、自閉などの陰性症状にも効果があります。海外では、双極性障害のそう状態にも適応があります。
・鎮静作用が強いため、特に興奮や衝動性の強い患者さんに使いやすいですが、倦怠感や眠気のために活動性が低下することがあります。統合失調症の陰性症状と見分けがつきにくいことがあり、服薬を始めてから明らかに活動が下がるようなら薬剤師に相談してください。
・舌下錠という特殊な服用方法になります。舌下錠とは、舌の下に薬を置くことですぐに溶け出し吸収される錠剤のことをいいます。
なぜこのような剤形になっているかというと、一般的な薬のように内服してしまうと、ほとんどが肝臓で分解されてしまい効果が発揮できなくなってしまうからです。しかし、口から吸収された薬は、肝臓での分解を回避してダイレクトに血管に伝わるため、しっかり効果を発揮することができます。
・舌下錠という名前ですが、必ずしも舌下でなくても口の粘膜どこからでも吸収されます。ただ、口腔内から吸収されるには少し時間がかかるため、約10分間は飲食禁止となっています。飲食してしまうと、アセナピンが吸収される前に口から流れていってしまうためです。
もし、10分待てない場合は、最低5分は待つようにしましょう。メーカーのデータでは5分で約90%が吸収されるとされています。
・副作用としては、舌のしびれが生じやすく歯の治療時などにする局所麻酔のように、一時的に味覚が感じられなくなることもあります。
また、鎮静作用が強いため眠気が強く日中などは特に注意が必要となります。しかし、陽性症状には効果が強いため継続ができる方には強い味方となります。
・オランザピンやクエチアピンは、糖尿病に禁忌となっていますが、アセナピンは糖尿病に禁忌となっていません。