■成分名

クエチアピン

■商品名

クエチアピン、セロクエル

■規格

錠剤:12.5mg、25mg、50mg、100mg、200mg  細粒:10%、50%

※錠剤の12.5mg、50mg、細粒10%は後発医薬品(ジェネリック医薬品)のみの発売

■効能・効果

統合失調症

■用法・用量

通常、成人にはクエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。

通常、1日投与量は150~600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する。
なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する。ただし、1 日量として750mgを超えないこと。

■副作用

鎮静作用が強いため、眠気やふらつきには注意が必要です。

・血糖値の上昇、脂質異常等

・口喝、便秘

・錐体外路症状は比較的少ないですが、注意は必要です。

■特徴

オランザピンと同様のカテゴリーに分類される統合失調症治療薬ですが、オランザピンと違い統合失調症治療に使用されることは少なくなっています。それは、以下の点が挙げられます。

①幻聴や幻覚などの統合失調症の陽性症状に対して効果が弱く、使用する場合には高用量(一般的に300mg以上)が必要となるため。

鎮静作用が強く、神経症や気分障害における不安軽減、不眠、せん妄の改善に用いられることが多いため。

特に睡眠薬代わりに使用されることが多く、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べて深い眠りを得やすく、また依存もしにくいという特徴を持ちます。

③別ページでも説明しますが気分安定薬としての側面もあり、双極性障害のうつ状態の治療にも有効です。クエチアピンの徐放薬はビプレッソという商品名で発売されています。

これらの理由により、クエチアピンは統合失調症よりも鎮静作用を活かした症例や気分安定薬として用いられるケースが多くなっています。

・統合失調症に対する効果が弱い分、錐体外路症状や高プロラクチン血症(女性ホルモンであるプロラクチンが上昇し、乳汁分泌や生理不順を起こすこと)などの副作用も弱いという特徴があります。

ただ、鎮静作用が強いため、倦怠感や眠気のために活動性が低下することがあります。統合失調症の陰性症状と見分けがつきにくいことがあり、服薬を始めてから明らかに活動が下がるようなら薬剤師に相談してください。

また、睡眠薬代わりに使用している場合は、眠気が朝に残る場合もあります。服用時間や用量の調節などが必要な場合もありますので、薬剤師に相談してください。

・オランザピン同様に、脂質代謝異常や血糖値の上昇を起こすことがあるため、糖尿病患者さんへの使用は禁忌(使用不可)となっています。